「ダイバーシティ」という言葉の意味

ダイバーシティイメージ画像ここ数年脚光を浴びている「ダイバーシティ」というワードの直訳は「多様性」です。

「環境」という枠組みで多様性を定義すると、生物や植物の種の豊富さを意味し、
「人間社会」という枠組みで定義すると、年齢・性別・国籍・人種・障害・LGBTなど幅広く性質の異なるものが存在することを意味しています。
「経済」という枠組みで定義すると、「Diversity&Inclusion」の略、つまり「多様性の受容」を意味しています。

そのうえで、社会的な意味でダイバーシティをとらえ直すと、その「多様性」つまり「違い」の要素は大きくは外形的・表層的属性と、内面的・心理的属性に分類が可能です。

外形的・表層的属性の「違い」は年齢や性別、国籍など外形から容易に認知することができるため、簡単に注目することができます。
反対に、心理的属性の「違い」は、価値観や性質的な要素のため認知することが難しく、えてしてその違いが無視されがちな要素でもあります。

日本企業では、その構成員について、現代にいたるまで長きにわたり人種や国籍が日本人で統一されてきたため、「違い」といえば性別の違いばかりに注目が集まり、”ダイバーシティ イコール 女性の活躍、活用”と「性別の違い」にのみ注目した考え方が主流でした。

もちろんそれはダイバーシティを考えるうえでの一つの大きな要素ではありますが、しかしながら、性別の違いだけではない、内面的・心理的属性の「違い」も、経営戦略としてダイバーシティを考える際には重要な要素であることを忘れてはいけません。

今までの「ダイバーシティ」

法律イメージ画像そもそもは、ダイバーシティという考え方はいわゆるマイノリティグループへの人権問題がスタートでした。

国連での女性の地位向上に関する議論の高まりから制定された、
1986年 男女雇用機会均等法
1999年 男女共同参画基本法
2003年 次世代育成支援対策促進法

など、1980年代~2000年代初頭の法令の整備に合わせて、大企業が中心となり、企業の社会的責任、つまりCSRとしてダイバーシティに取り組む動きが活性化しました。

しかしながら、単なる企業の社会的責任のため、つまり義務的な意味だけでダイバーシティに取り組んでいる企業は、現在、大きな行き詰まりを感じていると言われています。

そのような企業の多くがダイバーシティの目的として掲げている「多様性を活かす」「働き手一人一人が活躍できる」といったワードは非常に見栄えはいいものの、公的な義務としての施策に留まっている印象はぬぐえず、取り組んだところで実際企業に経済的なメリットがあるのかどうか、その答えは曖昧なままです。
そして、このようなダイバーシティの施策は、一部のグループに対する優遇や甘やかしに見え、アンフェアな感情を呼び起こすものです。
企業の構成員全員が納得する機会が無いままこのような施策を推進した結果、反発が起こってしまい、かえって企業全体のパフォーマンスを下げてしまった企業が少なくありません。CSRとしてのダイバーシティは大きな壁にぶつかっていました。

これからの「ダイバーシティ」

ではなぜ今、またダイバーシティなのか。
かつては法整備に歩調を合わせた社会的な取り組みだったダイバーシティは、今、労働力の減少、仕事への価値観の変化、消費への価値観の変化、グローバル化という経済環境の大きな変化に対応するための経営戦略として新たな価値を持つようになりました。
重要な経済的トレンドには、「ここから本格的に変わり始めた!という瞬間がある」と言われています。今がその瞬間なのかもしれません。